38歳が『ビジョナリー・カンパニーZERO』を読んで株式会社US創業期の判断基準に組み込んだ3つの原則:小規模段階の経営設計を「偉大で永続的な企業」の出発点から逆算する

『ビジョナリー・カンパニーZERO』が創業期に刺さった理由

株式会社USを立ち上げて3年目、私はジム・コリンズとビル・ラジアーの『ビジョナリー・カンパニーZERO』を読んだ。

シリーズの他作品は「既に偉大な企業」の分析が中心だが、本書は「ゼロから事業を生み出す段階」に焦点を当てている。創業期〜小規模段階の経営原則がまとまっており、個人事業主と法人を併営する38歳の私にとって、日々の意思決定の参照軸として機能する内容だった。

本書から得た3つの原則を、株式会社USの実務にどう組み込んだかを記録する。

原則1:「誰をバスに乗せるか」を最優先する

本書の核心の一つが「まず人を選び、次に目標を決める」という順序の逆転だ。

従来の経営論は「ビジョンを掲げ、それに合う人材を集める」順序を推奨するが、コリンズは「適切な人をバスに乗せてから、どこへ行くかを決める」ことの重要性を説く。理由は、事業環境は変化するが、優れた人材は変化に適応できるからだ。

株式会社USへの実装

私は個人事業と法人を併営しており、現時点で従業員は雇っていない。しかし「誰と組むか」の判断は日常的に発生する。

  • 取引先の選定: 単価や案件規模より、「対等な関係を築けるか」「信頼できるか」を優先する。不当な扱いを受ける可能性がある取引先は、条件が良くても断る
  • 税理士・専門家の選定: 報酬額より「コミュニケーションの質」「説明の丁寧さ」を重視。実際に顧問税理士との報酬交渉を経て、対話密度が上がったことで判断の精度が向上した
  • 将来の採用基準: もし従業員を雇う段階になったとき、「何ができるか」より「誠実に行動できるか」「場をまとめる力があるか」を見る

「誰と組むか」の基準を持つことで、短期的な利益より長期的な信頼を優先する判断が可能になった。

原則2:「20マイル行進」で一貫したペースを守る

本書が紹介する「20マイル行進」の概念は、好況時も不況時も一定のペースで前進し続ける規律を指す。

過剰な拡大を避け、逆に不調時も最低限のペースを維持する。この一貫性が長期的な成長を支える。

株式会社USへの実装

私の事業は繁忙期(春・秋の定期検査シーズン)と閑散期が交互に訪れる構造を持つ。この波に対して、以下のペース設計を実装した。

  • 繁忙期: 過剰受注しない。家族時間と健康を犠牲にしてまで案件を詰め込まない
  • 閑散期: 遊び呆けない。サイト構築・書籍読了・事業設計の見直しなど、次の繁忙期に備える準備を淡々と進める
  • 役員報酬: 月5万円で固定。業績の波に応じて上げ下げせず、社会保険の最低基準を維持する水準で安定させる

「20マイル行進」の実装により、短期的な売上変動に振り回されず、3年・5年・12年スパンの設計を守る判断ができるようになった。

原則3:「銃撃に続いて大砲発射」で小さく試す

本書は「いきなり大きな賭けに出るな」と警告する。

成功企業は、まず小さな実験(銃撃)を繰り返し、確実に当たることを確認してから大規模投資(大砲発射)に移る。失敗のコストを抑えながら学習する姿勢が、長期的な成功確率を上げる。

株式会社USへの実装

私は副業・サイト構築・融資など、いくつかの「実験」を並行して走らせている。

  • 副業実験: 潜水士・家電修理の2つを試し、前者は「案件数が少ないが対等構造で再開希望」、後者は「構造的不適合で終了」と結論を出した。初期投資を抑える設計(家電修理では中古買取モデルを避け、修理のみで完結)により、撤退コストを最小化した
  • サイト構築実験: urisol.com と urinosuke.com の2サイトをClaude Codeで構築。いきなり大規模システムを作らず、小さく始めて改善を重ねる方針を取った
  • 融資実験: 日本政策金融公庫のセーフティネット貸付を実際に利用。小口で借りて返済実績を作り、次の融資に備える

「銃撃→大砲」の実装により、失敗を許容しながら学習速度を上げる体制が整った。

「永続性」を起点に逆算する意思決定

『ビジョナリー・カンパニーZERO』が提供するのは、「今すぐ大きくなる方法」ではなく「長く続く企業を作る方法」だ。

38歳の私にとって、12年後の50歳ゴール(年間配当で生活費を賄い、呼ばれた現場のみ受ける働き方)を設計する上で、この「永続性」の視点は不可欠だった。

  • 短期的な売上より、長期的な信頼
  • 繁忙期の過剰受注より、一貫したペース
  • 大きな賭けより、小さく試して学ぶ姿勢

これらの原則を株式会社USの判断基準に組み込むことで、「今年の利益」ではなく「10年後も選ばれる存在」を目指す経営設計が可能になった。

まとめ:創業期の判断基準を「偉大で永続的」の出発点から設計する

『ビジョナリー・カンパニーZERO』から得た3つの原則——「誰をバスに乗せるか」「20マイル行進」「銃撃に続いて大砲発射」——を、株式会社USの実務に実装した。

個人事業と法人を併営する38歳にとって、日々の意思決定を「永続性」から逆算する参照軸を得たことは、短期的な利益追求ではなく長期的な信頼構築へと舵を切る契機となった。

創業期〜小規模段階の経営者にとって、本書は「今どう判断すべきか」の羅針盤として機能する一冊だ。

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参考

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