来年の税金を先に試算する:消費税・所得税・法人税の見積り方と38歳併営事業者が実装した3段階圧縮設計

税金を後から知るのではなく先に設計する

確定申告は年1回だが、税金の設計は年間を通じて動かす。私は個人事業主(USサービス)と法人(株式会社US)を併営しており、消費税・所得税・法人税の3つを同時に見積もる必要がある。2026年1月時点で来年(2027年)の税負担を試算し、開業費・繰越欠損金・役員報酬の組み合わせで圧縮設計を組んだ過程を実数で記録する。

税理士に丸投げするのではなく、自分で試算して選択肢を持つ。その前提で顧問税理士と対話する構造を作っている。


3つの税金を同時に見積もる理由

消費税:簡易課税の選択タイミング

個人事業側は2026年からインボイス登録済み。2年前の課税売上が1,000万円を超えると自動的に課税事業者になるが、簡易課税を選択するかどうかは前年末までに届出が必要。売上規模と仕入率の予測が外れると、本則課税のほうが有利だったケースも起こりうる。

MFクラウド確定申告で月次売上を集計し、年間売上の見込みを四半期ごとに更新している。2026年10〜12月の受注状況を見て、2027年の簡易課税適用可否を判断する必要がある。

所得税:小規模企業共済と開業費償却の組み合わせ

個人事業の所得税は累進課税。課税所得が330万円を超えると税率20%(住民税含め30%)に跳ね上がる。開業費の任意償却と小規模企業共済掛金(月70,000円)を組み合わせて、課税所得を330万円以下に抑える設計を組んでいる。

開業費は初年度に全額償却してもいいし、分割して償却してもいい。利益が出た年に多めに償却し、赤字年は償却しないという調整ができる。私の場合、初年度(2024年)は開業費約120万円のうち60万円を償却し、残り60万円を2025年以降に繰り越した。

法人税:繰越欠損金と役員報酬のバランス

法人側は設立初年度(2025年)が赤字で終わり、繰越欠損金が発生している。この欠損金は10年間繰り越せるため、2026年以降に法人側が黒字化しても、欠損金と相殺して法人税を圧縮できる。

同時に、役員報酬(月50,000円)を低く設定しているため、法人側の人件費が少なく利益が出やすい構造になっている。役員報酬を上げれば法人側の利益を圧縮できるが、社会保険料の負担も増える。繰越欠損金がある間は役員報酬を低く保ち、欠損金を使い切った後に役員報酬を上げる戦略を取っている。


MFで月次試算→四半期更新の運用

月次試算の3ステップ

  1. 月次売上の集計:MFクラウド確定申告(個人側)とMFクラウド会計(法人側)で月次売上を自動集計。銀行口座・クレカ連携で仕訳は9割自動化されている。
  2. 年間見込み売上の更新:過去3年の繁忙期(3〜5月・9〜11月)と閑散期(6〜8月・12〜2月)の売上比率から、年間売上を予測。四半期ごとに実績を反映して見込みを更新。
  3. 税額シミュレーション:見込み売上から経費・控除を差し引いて課税所得を試算。税率表に当てはめて所得税・住民税を計算。法人側は利益見込みから法人税・地方税を試算。

2027年の試算(2026年1月時点)

2026年1月時点で2027年の税負担を試算した結果、以下の3段階で圧縮設計を組んだ。

第1段階:開業費償却で所得税を圧縮

個人事業側の見込み所得が400万円を超える見込みだったため、開業費残高60万円を全額償却。課税所得を340万円に抑え、税率20%の範囲に収める。これで所得税・住民税の合計が約12万円圧縮された。

第2段階:小規模企業共済で累進税率を回避

開業費償却後も課税所得が330万円を超えるため、小規模企業共済掛金(年間84万円)を全額控除。課税所得を256万円まで下げ、税率10%(住民税含め20%)の範囲に収める。これでさらに約17万円の圧縮。

第3段階:法人側の繰越欠損金で法人税をゼロに

法人側の見込み利益は約150万円だが、初年度の繰越欠損金(約200万円)が残っているため、法人税は実質ゼロ。繰越欠損金を50万円消化し、残り150万円を翌年以降に繰り越す。


税理士確認の線引き:試算は自分で、判断は顧問に

自分でやること

  • 月次売上の集計と年間見込みの更新(MF自動仕訳+手動確認)
  • 開業費償却額の仮決定(償却するか繰り越すか)
  • 小規模企業共済掛金の拠出額調整(月70,000円固定だが、年単位で前納・後納も可能)
  • 役員報酬の変更タイミング検討(年1回・期首3ヶ月以内)

税理士に確認すること

  • 簡易課税の適用可否と届出タイミング
  • 開業費償却の上限確認(税務上の任意償却の範囲)
  • 繰越欠損金の残高確認と相殺シミュレーション
  • 役員報酬変更の手続き(株主総会議事録・定款変更)

税理士報酬は年間契約で固定だが、試算を自分でやることで「質問の精度」が上がる。「来年の税金はどうなりますか?」ではなく「開業費を60万円償却した場合、課税所得は330万円を下回りますか?」と具体的に聞ける。


試算の精度を上げる3つの習慣

1. 月次決算を自分でやる

MFの自動仕訳に任せきりにせず、月末に必ず残高確認をする。特に未払金・未収金・仮払金の消込み漏れがあると、利益が正しく把握できない。私は月初3日以内に前月分の仕訳を確定させるルールを設けている。

2. 四半期ごとに見込みを更新

年間見込み売上は、四半期ごとに実績を反映して更新する。繁忙期の受注が想定より少なければ、その時点で開業費償却を見送る判断ができる。逆に、想定以上に売上が伸びた場合は、小規模企業共済の前納を検討する。

3. 税率表を手元に置く

所得税の税率表(5%・10%・20%・23%・33%・40%・45%)を常に手元に置き、課税所得がどの段階にいるかを意識する。特に330万円(10%→20%)と695万円(20%→23%)の境界線は、控除額の調整で圧縮効果が大きい。


まとめ:税金は後から払うものではなく先に設計するもの

税金を「後から請求されるもの」として受け身で待つのではなく、「先に試算して圧縮設計を組むもの」として能動的に動く。消費税・所得税・法人税の3つを同時に見積もり、開業費・繰越欠損金・役員報酬を組み合わせて圧縮する。

MFで月次決算を自分でやり、四半期ごとに見込みを更新する。税理士には試算結果を持ち込み、届出タイミングや手続きの確認を依頼する。この構造を作ることで、税金を「払わされる」のではなく「設計して払う」状態に持っていける。

2027年の税負担は、開業費償却・小規模企業共済・繰越欠損金の3段階圧縮で、所得税約29万円・法人税ゼロの見込み。この試算は2026年1月時点のものであり、実際の税額は年末の確定申告で確定する。試算と実績の差分を記録し、次年度の精度向上に活かす。


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参考

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