配当だけで生活費を賄う設計:38歳が『DIE WITH ZERO』と『お金は寝かせて増やしなさい』から逆算した「降りられる」ラインの3段階試算

配当収入で「降りられる」とは何を指すのか

私は現在38歳。個人事業主と法人代表を併営しながら、50歳で「呼ばれた現場のみ受ける」働き方へ移行する設計を進めている。この設計の核になるのが配当収入で生活費の一部を賄う仕組みだ。

「降りられる」という表現は誤解を招きやすい。完全リタイアや収入ゼロを目指すのではなく、本業収入への依存度を下げ、選択の自由を持てる状態を指している。『DIE WITH ZERO』で描かれる「人生のピーク体験をいつ配置するか」という時間配分設計と、『お金は寝かせて増やしなさい』のインデックス投資による配当設計を組み合わせ、43歳サイドFIRE・50歳「呼ばれて行く」働き方という2段構えの目標に落とし込んだ。

この記事では、年間配当目標と生活費を逆算し、いつ・いくらで「降りられる」かを3段階で試算した実務記録を書く。投資は自己責任が原則であり、個別銘柄の推奨はしない。

第1段階:生活費の内訳と「賄える」ラインの定義

配当で何を賄うかを決めるには、まず生活費の内訳を固定費と変動費に分解する必要がある。私の場合、以下のように整理している。

固定費:住居費・通信費・保険料・サブスクリプション・事務所維持費 変動費:食費・光熱費・交通費・教育費・交際費

「賄える」ラインは固定費の全額カバーを第一目標に設定した。変動費は事業収入や役員報酬でまかなえるが、固定費が配当で埋まれば、収入が途絶えても数ヶ月は持ちこたえられる。この「持ちこたえられる期間」が選択の自由を生む。

『お金は寝かせて増やしなさい』では、インデックス投資の配当利回りを年率3〜4%と想定している。生活費の固定費部分を仮に月額設定するなら、その12倍を年間配当目標とし、逆算して必要な投資元本を算出する。税引後の配当利回りを3.5%と仮定すれば、必要元本は目標額を0.035で割った金額になる。

この計算式は単純だが、税制・再投資戦略・出口戦略のどれを優先するかで元本目標が変動する。新NISA・iDeCoの非課税枠をどう使うかも含め、第2段階で詳細を詰める。

第2段階:43歳サイドFIREと50歳ゴールの2段構え試算

私の設計は2段階に分かれている。

43歳サイドFIRE(5年後):配当+副業で生活費の一部をカバーし、本業は選んで受ける状態 50歳ゴール(12年後):年間配当目標を達成し、「呼ばれた現場のみ受ける」働き方へ移行

43歳時点では、配当だけで固定費を全額賄う必要はない。副業収入・役員報酬・繁忙期の本業収入を組み合わせ、配当が生活費の3〜4割を埋めれば選択の自由は生まれる。この段階では、配当を再投資に回す余地も残す。

50歳時点では、配当で固定費を全額カバーできる設計にする。『DIE WITH ZERO』の思想に従えば、50歳以降は「時間を買う」フェーズに入る。収入を追わず、社会接続を維持する程度の仕事だけを選ぶ。配当が固定費を埋めていれば、「呼ばれて行く」働き方でも生活は回る。

逆算すると、50歳時点で必要な投資元本は、年間配当目標を0.035で割った金額になる。この元本を12年で積み上げるには、月額積立額と利回り・複利効果を加味した試算が必要だ。金融庁の「資産運用シミュレーション」などの公開ツールを使い、目標元本に到達する積立プランを複数パターン作成している。

注意点として、配当利回りは市況で変動する。リーマンショック級の暴落では配当が減配されるリスクもある。そのため、目標元本には2割程度のバッファを持たせている。

第3段階:出口戦略と「降りた後」の資産取り崩し設計

50歳以降、配当だけで固定費を賄えるようになっても、投資元本は取り崩さない設計を基本にしている。配当を使い切り、元本は次世代に引き継ぐか、自分の老後資金として温存する。

ただし、『DIE WITH ZERO』の思想では「ゼロで死ぬ」ことが理想とされる。配当だけに固執せず、体験にお金を使う時期には元本取り崩しも選択肢に入れる。たとえば60歳以降、旅行・趣味・家族との時間に投資するフェーズでは、配当だけでなく元本を計画的に取り崩す設計も必要だ。

取り崩し設計では、以下の3つを明確にしている。

  1. 取り崩し開始年齢:何歳から元本に手をつけるか
  2. 年間取り崩し率:4%ルールなど、持続可能な取り崩しペース
  3. 最低残高ライン:何があっても残しておく金額(緊急用・医療費・介護費用)

金融庁の「老後資金シミュレーション」や、海外の「4% Rule Calculator」などを使い、取り崩しシナリオを複数作成している。配当だけで生活費を賄う設計は、あくまで50歳〜60歳の「第2ステージ」用であり、その先の「第3ステージ」では取り崩しも組み合わせる柔軟性を持たせている。

まとめ:配当設計は「降りる」ためではなく「選ぶ」ための仕組み

配当で生活費を賄う設計は、完全リタイアや収入ゼロを目指すものではない。選択の自由を持つための仕組みだ。43歳サイドFIREでは配当が生活費の一部を埋め、50歳以降は配当が固定費を全額カバーする。その先は元本取り崩しも視野に入れ、体験にお金を使うフェーズに備える。

投資は自己責任が原則であり、この記事は私の設計を記録したものに過ぎない。市況・税制・家族構成・健康状態など、前提が変われば設計も変わる。定期的に見直し、修正し続けることが、配当設計を機能させる条件だと考えている。

関連書籍

DIE WITH ZERO——人生が豊かになりすぎる究極のルール

「ゼロで死ぬ」思想は、配当設計の出口戦略を考える上で重要な視点を与えてくれた。時間配分と資産配分を同時に設計する発想は、50歳以降の働き方設計にも直結している。

改訂版 お金は寝かせて増やしなさい

インデックス投資の実務バイブル。配当利回りの設定・再投資戦略・出口設計の基礎をこの本から学んだ。新NISA時代の積立設計を考える上でも繰り返し参照している。

参考

← ブログ一覧へ戻る