FIは逃げじゃない — 呼ばれて行ける自分を作る経済基盤

結論

FIRE の F(Financial Independence)だけ重視する。R(Retire Early)は要らない。 目標は 2035年(47歳)、年間配当200万円+副業収入。 理由は単純で、最前線にいることに生きがいを感じるタイプだからだ。

なぜ RE を重視しないか

早期リタイアに関心が薄い理由は3つ。

  1. 現場が好き。NDT検査は配管の継ぎ目ひとつから設備全体の健全性を読む仕事で、50代でピークに達する領域だと思っている。20年やってようやく見え始めたものを、経済的に可能だからという理由で手放すのは惜しい。
  2. 現場から離れると「呼ばれる側」でいられない。国内主要製油所の定修は、前回入った人間が次にまた呼ばれる、という呼び合いで動く世界だ。3年離れれば輪から外れる。
  3. 健康と判断力への信頼が足りない。50歳で働ける状態を保てている保証はない。働ける時は働き、働けない時は働かずに済む。FIはこの二つのオプションを同時に買う行為だ。

REを否定しているわけではない。自分の性格に合わないだけ。

ゴール: 2035年・年間配当200万円

数字で置くとこうなる。

  • 達成時期: 2035年(47歳)
  • 目標: 年間配当 税引後200万円(+副業収入を別枠で維持)
  • 想定ポートフォリオ: オルカン(全世界株式)中心、配当重視ETFを一部、現金1年分

正直に書くと、この200万円という数字に確固たる根拠はない。「エリートサラリーマンの上位」という願望ベンチマークをそのまま数字に置き換えただけだ。生活費から逆算した必要額ではなく、「このくらいあれば安心できる」という主観的な目安。

根拠が薄いと自覚しているので、毎年見直す。プロセスの方が数字より大事だ。

運用方針

優先順位はこの順。

1. 新NISA(つみたて枠 + 成長投資枠)

非課税枠は使い切る。商品はオルカンとS&P500中心、毎月定額積立。個人事業と法人で時間が取られる人間にとって、選択を減らすこと自体が戦略になる。

2. 小規模企業共済を満額

個人事業主としての節税と、廃業時の退職金代わり。掛金全額所得控除は使わないほうが損。月額は満額運用を基本に、キャッシュフローで調整。

3. 法人の内部留保+役員退職金規程

株式会社US側で退職金規程を整備し、将来の役員退職金として内部留保。法人税率と所得税の累進を考えると、一定額までは法人で貯めたほうが効率的。

4. iDeCo

NISAと小規模共済を優先した残りで。受取時の税制変動があるので満額にはしない。

5. 現金クッション

生活費の1年分を普通預金で固定。暴落時に投資商品を取り崩さないための保険。JAL株は別枠で持っている(趣味枠)。

不動産には乗らない

キャッシュフローが読みやすいという理由で勧められるが、消極的だ。

本業のNDT検査は「固定資産の劣化を見抜く仕事」で、構造物の維持コストの怖さを毎週見ている。レバレッジをかけて保有する動機にはならない。REITは金利感応度が高くインデックスと相関するので、オルカン1本で事足りる、というのが現時点の結論。

「呼ばれれば行く」の設計思想

FI後の働き方は、依存ではなく信義でやりたい。

依存とは、生活のために断れない状態。信義とは、断れる状態で受ける判断。経済的に断れる状態を作ったうえで、前回呼んでくれた現場には「自分の意志で」応える。これがFIを背景に置いた時の、呼ばれる側の振る舞いだと思っている。

50歳のゴールは数字ではなくプロセスだ。年間配当200万円という数字は目安であって、本質は「断れる状態で、選んで応える」という在り方のほうにある。数字は手段で、手段は後から修正できる。

タイムライン

  • 2026〜2030: 積立最大化、法人退職金規程整備、資産形成期
  • 2031〜2035: 資産防衛期・FI到達確認
  • 2035年(47歳): FI達成予定。以後は呼ばれた現場だけ受ける働き方に移行
  • 50歳時点: 数字ではなく、どう在るかで評価する

まとめ

FIは逃げではない。逃げなくて済むための経済的余白を作る作業だ。 50歳で働くのをやめるためではなく、50歳で仕事を選ぶために、40代の収入と時間を設計する。 根拠の薄い数字でも、見直す前提で置いておく。走りながら修正するほうが、置かないより速い。

次回は、この設計を支える「個人事業×法人併営の実務」を書く。


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